第30章 気兼ねる
誠凛バスケ部は、順調にトーナメントを勝ち上がっていく。
私とリコは次の試合のスカウティングの為にDVDを運んでいた。
「順調だね」
「そうね。順調過ぎるくらいよ。でもね、前の試合を見て思ったけど、一日で2試合はキツイわね。次の試合はなんとかしないと…」
笑顔だったリコの顔が少し引き締まって監督の顔になる。
凛々しくて、頼りになる監督の顔。
「王…者だから?」
私が問いかければ、
「そう、王者だから」
と、少し表情を曇らせた。
つられて、私も下を向く。
去年、私達は大敗した。
皆、バスケが嫌いになりかけてた。
あんまり、思い出したくない…。
途中、一年生の教室で黒子と火神を捕まえて、皆に指定した場所まで向かう。
どうか…
皆がリベンジできますように…