第28章 閊える
「はい。昨日はさぼってごめんね」
そう言って、一人一人にジュースを渡した。
「さぼってなんかないわよ…。フロアもボールもピカピカだったじゃない」
リコの呟きに
「まぁまぁ、いいから」と笑う。
一年生はまだ帰って来ないらしい。
「大丈夫かな?」
誰にというわけでもなく、まるで独り言のように問いかけると、
「無傷は無理でしょー?」とコガが言う。
「怪我して帰って来られたら困るわよ」
「でもさ、あの人数だよ」
「そうだな」
「まあ、俺らも買えたし大丈夫だろ」
皆が口々に話しはじめたのをきっかけに、そっと後ろに下がった。
フェンスに寄りかかって校庭を見つめる。
少し離れた場所から、「買ってきましたー」と一年生たちの声が聞こえた。