第26章 増える
高橋さん、基、梓ちゃんはリコとお知り合いらしい。『生徒会で一緒』だと言っていた。
確かに、ハキハキした彼女はリコと似ている。
「新入部員、どれくらい来るかしら?」
更衣室で着替えながらリコが言う。
「たくさん来るかな?楽しみだけど、不安…」
そう、洩らすと、
リコからまったく実感の沸かない喝が飛んできた。
「もう、頼むわよ。先輩!」
そう、先輩なのだ。
実感が無さすぎて困る。
「ほら、背筋伸ばして!しゃんとして!いくわよ」
カントクの顔をした彼女はとても凛々しい。
先日、『鉄平と別れた』とうつ向く彼女とは別人だ。
もう、吹っ切れたのだろうか…?
そんな事を考えながら、先に出た彼女の背中を追いかけた。