第25章 結わえる
「仲良いね。羨ましー」
集まっていた人がはけると隣の人に話しかけられた。
「私、高橋 梓。よろしくね」
「ひ、陽向 碧です。よ、よ、よろしくね」
初対面の人はどうも、ダメ。
どもり癖が治らない…。
トントントンと背中を叩いて、凛が私を宥める。
背中に当たる手のひらに『落ち着いて』と言われている。
本当に落ち着くから不思議。
「水戸部がそうゆう事するなんて意外」
クスクスと肩を震わせて笑いながら高橋さんが言った。
「えっ?そうゆう事?」
「案外、普通に触るんだなぁって。あっ、去年もね、水戸部と同じクラスだったの。あんまり接点なかったけど、大人しいイメージだったからちょっと意外。人前でそうゆう事しなさそうだし、女子に触ったりとか、なんとなく躊躇いそうじゃない?水戸部って」
彼女の言葉に凛が焦った様にフルフルと首を振った。
私の顔を見て、眉を下げる。
たぶん、『誰にでもする訳じゃない』って伝えたいんだと思う。
そんなの、ちゃんと分かっているのに…。
だから、コクンと頷いた。
『分かってるよ』『大丈夫だよ』と言う意味を込めて。
「それとも、碧ちゃんだけ特別?お似合いだね」
私達見比べるように覗き込んだ彼女に、ちょっとからかうように言われて、ボンッと凛の顔が赤くなる。
「はははっ。それはイメージ通り」と高橋さんは笑う。
「碧ちゃん、仲良くしよ。よろしく」
手を出して握手をもとめる彼女の手に、自分の手を重ねて、
「よろしくね」と、きゅっと握った。
去年一緒にいた彼女とは違うタイプの、高橋さん。
凛からの繋がりで、お友達が出来た。すごく嬉しい。