第24章 彩る
2学期が終わって冬休み。
部活終わりに校門まで皆で歩いていた。
水戸部の鞄には誠凛のユニホームの形をしたストラップが揺れている。
先日の誕生日に私がプレゼントした物だ。
一緒に渡したタオルには「水戸部凛之助」と刺繍を入れておいた。
兄弟達に使われたく無いものは名前をいれておくのが水戸部家のルールらしい…。
そのタオルも、彼は大切に使ってくれている。
「ねーねー。明日のクリスマスとかどうすんの?」
「どうもこうもねーよ!部活だ。ダァホ」
「日向に聞いたんじゃないよ。二人に聞いたの」
と、コガが私と水戸部を指差す。
フルフルと水戸部が首をふった。
「えー!じゃあさ…」
「ちょっと待てよ。 水戸部なんて言ってんだよ?」
日向が聞いた。
「家族と一緒だって」
コガが答える。
「えっ?いいのかよ」
今度は日向の視線が私に来る。
申し訳なさそうに水戸部の眉が下がった。
「部活で会えるし、ご兄弟優先だよ」と答えた。
本当は少し寂しい。
明日はお兄ちゃんもデートで家を空けるらしく、一人だから余計に寂しい…。
でも、そんな事を言って困らせたくない。
「じゃあさ…」
さっきの続きらしい。
コガが私を見た。
「二人はどこまで進んだの?」
「えっ?」
「だから、どこまで?水戸部さ、全然、教えてくんないんだもーん。クリスマスはいろいろチャンスじゃん?」
言い終わるのが早いか、当たるのが早いか、
「バフッ」という音が響いて、コガの背中にスイングされた水戸部のカバンがぶつかる。
「痛ーっ!ちょっと水戸部ー‼」
うずくまっているコガの横を水戸部に引っ張られて通りすぎる。
「小金井くんが悪いわね」
リコの呟きが後ろで聞こえた。