第22章 圧される
季節は秋を過ぎて、冬に差し掛かる。
夏休みから独学ではじめたスポーツ栄養の勉強も、だんだん身になっているようで、差し入れも好評。
家での食事も、お兄ちゃんの為にと気を使うようになって『頑張ってるな』と誉められた。
嬉しい。
帰り道に水戸部にそんな話しをすると、ニコリと笑って頭を撫でられた。
水戸部の手はあったかい。
最近では、家に着いてしまうのはあっという間で、《もう少し一緒に居たい》という欲が出始める。
人間って、欲張りだ。
でも、毎日、部活で会えるんだし…家族の多い水戸部は何かと忙しい。
《もう少し》なんて我が儘は言えず、繋いだ手を離して、「また、明日」と手を振った。