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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第21章 広がる


引かれた身体がバランスを崩すが、倒れる前に抱き止められる。

振り向かなくても、水戸部だとわかった。



皆がぽかんとするなか、コガがクスクスと笑っている。

「触って欲しく無いってー」


コガの言葉に皆の顔がニヤつきはじめ、
誰かが「意外と独占欲強いんだな…」なんて呟いた。

振り向くと水戸部の顔は真っ赤で、それに連れて私も赤くなる。


状況のわからない木吉だけがぽかんとしていた。

「コイツら付き合ってるんだよ」
気づいた日向が説明する。

改めて言われると恥ずかしい…。

少し間が空いて、
「そうなのかー。よかったなー」
と穏やかに笑う木吉。


「碧もコガみたいに水戸部の言ってる事がわかるのか?」

「わ、わかんないけど…」



「どうやって会話するんだ?」

「あっ、それ、俺らも気になってたんだ」

伊月が話に入って来た。



「否、会話というか…」

「もしかして、水戸部は碧の前なら喋るのか?」

「否、あの…」


「てか、お前らどうなってんだよ?どこまでいったよ?」

「それ、俺も知りたーい」

今度は日向にコガまでも…。

「えっ?あっ…えっと…」


「まぁまぁ、そのくらいに…」

土田が割って入ってくれたけど…


今まで特に私達の事に触れて来なかった皆は、
木吉の言葉を皮切りに、
ここぞとばかりに興味津々で根掘り葉掘り聞こうとする。

こんな状況に正直困ってしまって、
ぎゅっと制服のスカートを握り込んだ。


すると、

再度、腕が引っ張られ、
目の前が水戸部の広い背中にかわる。

彼は私を背に隠して、
皆に向かってフルフルと首を横に振った。


「もういいでしょ?って水戸部が。陽向が困ってるって」

コガが言う。


「じゃぁ、お前が答えろよ。ダァホ‼」


そう言われると、プイッとそっぽを向いてしまった。




「はいはい。もう、おしまい。病室で騒がない‼」


リコの言葉でこの話はおしまいに。




それからは、たわいもない話しをして、私達は木吉の病室を後にした。
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