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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第19章 謀られる【side 水戸部】


「陽向は回んなくていいの?もう回ったの?」

「ううん。結局、当番がぐちゃぐちゃになっちゃって…。時間になっても戻って来ない人とか居てね。だから、朝からずっと教室に居たから、コレ運んだら抜けていいよって言われたけど…人混み苦手だし…。一人で回るのも微妙だし…。このまま働いてた方が気が楽かな?って思って…」

と今度は下を向いた。

俯く彼女を前に、小金井はチラッとこっちを向いてニヤリと笑う。

「じゃぁさ、一緒に回ろーよ!」

「えっ?でも…。いいの?」

「いいじゃん!!ねぇ?水戸部ー?」

なにやら企むような顔の小金井の言葉に、若干戸惑いながらも頷く。

ちらっと陽向はこっちを見たけど、目が合うとすぐに逸らされた。


俺が居るから嫌?

やっぱり、陽向に何かしてしまったのかもしれない…。

陽向の様子からして、絶対に断られると思っていたのに聞こえてきた言葉に目を見開いた。



「あ、あの…。じゃあ、一緒に回ってもいいかな…?」


「もちろん!ねぇ?水戸部ー」


もう一度、小金井の言葉に合わせて俺もコクコクと頷く。


「ありがと。コレ運んでくるね」

そう、屈んだ彼女の腕をとっさに掴んだ。

彼女に立つように促して、代わりに自分が持とうと屈もうとすれば「…私の仕事だから、私がやりたいの…」と遠慮がちに拒否をされる。


「ごめんね。気持ちだけ…受け取らせて。ありがとう。水戸部」


さっきまで、こっちを見ないでしゃべってた陽向が、俺を見てふわりと笑った。


なんだか、久しぶりに陽向と目が合った気がする。

顔が熱い…。


段ボールを持ち上げて歩き出した彼女の背中がすこし遠くなった頃、

先程にも増してニヤニヤとした小金井が俺の顔を覗き込む。


「みーとーべー。タイミング見計らって、二人にしてあげようか?」


あぁ。やっぱり、ばれてる…。


『頼むから止めて…』

「なんでだよー。チャンスじゃん!!もう、告っちゃえばー?」

『何、言ってんだよ!!』


小金井の肩をバシッと叩いて、赤くなった顔を隠すように首を横に振った。



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