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【刀剣乱舞】独り占めは二人で

第1章 独り占めは二人で


ぽん、と置かれただけのそれをがかぶり直そうとすれば、突然今剣は彼女の両肩に手を伸ばしてきた。
「え?」
何を、と思った瞬間、今度は今剣が見上げるように唇を重ねてくる。彼の腕はそのまま肩からの首を抱くようにするりと後ろに回され、彼女が身を引くのを許さない。
岩融のそれと違い、重ねた唇を柔らかな舌でなぞる今剣。
「あっ……」
腰の辺りがぞくりと波打ち、かすかに恥ずかしい声が唇の間から吐息のように漏れる。
岩融のように、今剣も決して深く重ねてお互いの唇を貪るような口吻はしない。しないけれど、一瞬で体が恥ずかしさで熱くなり、は軽く今剣の体を押した。拒むのは恥ずかしさだけだ。岩融のことも今剣のことも彼女は大好きだったし、キスも初めてではない。嫌、とも、やめて、とも言うことが出来ず、ただただもがくだけでしか逃げることが出来ない。
「ふふふ」
は今剣が悲しがるのではないかと思ったけれど、どうやらまったくそんなことはなさそうだった。
満足したようで満面の笑みを浮かべてから岩融に「おあいこです!」なんてことを言い出す今剣。
対して岩融が「うむ、それはよかった」なんて言うのだから、彼もどうかしてる、とは思う。
「もう、二人とも、こ、困ります」
「そうでした。あるじさまは、あかるいうちはいやなんですものね」
「明るいから手加減をしたのだが」
けろりと二人にそう返されては、こちらこそ返す言葉がないというものだ。
「二人共!」
がそう叫ぶのと同時に
「おい!!いい加減にお前らだけでお楽しみするのやめてくれよ!」
と縁側から御手杵の声が聞こえる。
岩融は大きく笑うと「では、戻る」と今剣に言う。
「いわとおし、ありがとうございます!」
「うむ。ではまた後程」
「あ、ありがとう、岩融」
なんとなくもう一度感謝の言葉をが口にすれば
「礼なら先ほどもうもらったが、言い足りぬなら夜に頼もうか」
なんて言う始末だ。
「岩融!」
「はっはっは!」
「いわとおしずるいです!ぼくだってあるじさまのぼうしをとりたかったんですから!」
論点がずれたことを言いつつ岩融を見送ってから今剣は
「さ、みずやりをつづけましょう、」
と、みなに聞こえないように彼女の名を呼び、再び笑った。
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