第6章 Sixth sense
私は豊久の胸に抱かれて微睡む。
豊久の両腕は私の身体を労るように抱え、豊久の唇は私の髪や顔に幾度と無く口付けを落とした。
その行為に最上の幸福を感じつつも、もう私は瞼を上げる事すら億劫で只じっと身を委ねていると
「あーー……
お豊(トヨ)、もう良いかのう?」
部屋の外から信長様の遠慮がちな声が聞こえた。
どんな顔をして信長様と与一さんに会えばいいの?
私はドキドキしてしまって、もうこのまま眠ったふりをする事に決める。
「おう。済んだ。」
豊久は得意気に返事をし、私の身体を隠すように掛けられた布を肩まで引き上げてくれた。
「いや、お前……
済んだって実も蓋もねー言い方……」
呆れた声色の信長様と与一さんが部屋に入って来る気配を感じ、私は不自然に見えないように一層豊久に身を寄せ顔を隠す。
そんな私を見下ろした与一さんが
「ふふ……幸福そうな顔しちゃって。」
と、囁きながら私の頬を指先でつついた。
「はやらんど。」
豊久の言葉に与一さんは声を上げて笑う。