第6章 Sixth sense
「あはは……そりゃ僕だってさんの事は好きだけどね。
でも、さんとお豊(トヨ)がこうなるって
最初から決まってた様な気がするんだ。
直感……ってやつかな。」
「俺はなーんか娘を獲られた気分よ。
嬉しい様な、寂しい様な……」
「ああ、信長殿の気持ちも分かりますよ。
この総大将にさんを任せて大丈夫かって
心配なんですよねぇ?」
「おお!それじゃ。
与一の言う通りじゃ!」
からかうようにクスクスと笑う信長様と与一さん。
そんな2人に豊久は私を抱いたまま「うぬぅ…」と唸り声を上げる。
眠ったふりを続けながら3人の会話を聞いて、私は嬉しくて堪らなかった。
突然訳も分からずこの世界に飛ばされたけれど、ここで出会えたのがこの人達で本当に良かった。
そう思い自然と綻んでしまう私の顔を、与一さんの質問が一瞬で凍り付かせる。
「で、お豊(トヨ)……
さんはどうだった?」
え……?
ちょっと……与一さんってば何を聞いてるの?
その問いに案の定豊久は得意気に答え始めた。
「おう。
肌は柔くて白うて、一寸吸い上げれば直ぐに跡が着きよる。
そいであそこの具合は………」
「止めてっ……!」
私は堪らず慌てて豊久の口を両手で塞ぐと、背後で与一さんが愉しそうな声を上げる。
「ほら、やっぱり起きてた。」
しまった…と思い、おずおずと振り向くとしてやったり顔の与一さんと信長様がニヤニヤと私を見ていた。
本当にこの人達には敵わないよ………もう。
そう、思えばこの時が一番幸福だったんだ。
この先、私達はまた廃棄物(エンズ)に苦しめられる事になる。