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Indispensable~ドリフターズ~

第2章 Second impact


後は……豊久さん。

私はまた自分の頭の中を探ってみるけど

「俺(おい)は別に聞きたく無か。」

豊久さんはあっさり言い切った。

「え……?」

「そがいな事は聞かんでも決まっちょる。
 何十年、何百年掛かったかは知らん。
 それでも義弘叔父上が薩州に帰られたなら
 必ず島津が天下を取っておる筈よ。」


それは……違う。

それは間違ってる。

豊久さんが戦った関ヶ原合戦の後、天下統一したのは徳川家康だ。

島津家は天下を取ってはいない。

でも……全くそれを疑いもしない豊久さんの真っ直ぐな目に私の心は射ぬかれてしまう。

「ひとつだけ…お伝えしてもいいですか?」

だから私も真っ直ぐに豊久さんを見て言った。

「何ぞ?」

「島津氏は鎌倉時代から明治……
 近代日本が始まるまでの長い間、
 同一の国を治め続けた世界でも希有な領主です。
 これは本当に凄い事なんです。」

豊久さんは少しだけ目をパチクリさせた後、

「ん。
 それは全く誉れじゃ。
 良か事を教えてくれたの。
 ありがとうごわぁた……。」

そう言ってニッコリと笑った。

そして大きな温かい手で私の頭をクシャクシャと撫でてくれたんだ。
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