第6章 Sixth sense
「ああ………柔いのう。」
何度もそう繰り返し言いながら豊久の両手は私の胸を揉み拉く。
そして土方歳三に付けられた赤い痕を舐め取るように舌を這わせた。
同じ部分に触れられているのに、その指が、舌が、豊久の物なんだと思うと……
どうしてこんなに気持ちがいいの?
「………ん…んんっ…」
抑えていた声が耐え切れずに漏れ出してしまう。
「もじょ(可愛い)か声だの。
もっと聞かせい。」
瞬間、豊久の指先に胸の先端をきゅう…っと捻られ
「んあっ……!」
私は簡単に在られも無い声を上げてしまった。
「はン。他愛なか。」
少し意地悪そうに笑った豊久を、私は涙目で睨み付ける。
「怒らんでも良かが、。
そんな顔ももじょ(可愛い)くて堪らんち。」
豊久は私に跨がったまま、バサバサと着ている物を脱ぎ捨てて行く。
露になっていく豊久の裸を見て私は息を飲んだ。
そこには無数の傷跡が刻まれていた。
どうしたらこんなに傷だらけになってしまうの?
この人は一体、どんな人生を送って来たのだろう?
教科書や文献に綴られているような薄っぺらい知識で、全てを理解した気になっていた自分が恥ずかしいよ。
生身のこの人は、こうやって生きて来たのに……。
そう思ったら鼻の奥がツンと痛んだ。
「………怖いか?」
傷跡から目を離せないでいる私に気付いたのか、豊久が問い掛けて来た。
「ううん。そんな事無い。
全然怖くなんて無いよ。」
滲み出しそうな涙を我慢して答える私の頬を、豊久の大きな手がするりと撫でる。
「こんな汚い身体での真っ新な身体を抱くなんぞ
申し訳無かと思うが………
もう俺(おい)も止まれん。」
そして豊久は最後の一枚を脱ぎ捨てた。
傷跡だらけだけど豊久の逞しい身体は靭やかで美しくて……
何よりその身体の中心で聳り立つ物は驚く程に立派で……
自分でも淫らだと思うけれど、私の下腹部はずくりと疼いてしまった。