第6章 Sixth sense
豊久の額から伝わってくる温もりに際限無く幸福感が沸き上がり、お互いに見つめ合っていると……
背後から態とらしい咳払いが聞こえた。
驚いて振り向くと、そこには跋の悪そうな顔をした信長様と
「目が覚めましたか。
重畳。重畳。」
そう言って優しく微笑む与一さん。
………どこから見られていたのかな。
私が慌てて豊久の腕の中から離れようとすると
「ああ、構わん。
そのままそのまま。」
信長様はニヤリと笑って私を制した。
「俺と与一は所用で一寸留守にする故、
お豊(トヨ)はゆっくりと休んでおれ。
それからはお豊(トヨ)が無茶をせんように
離れず側に付いておるようにの。」
「僕達の事は気にしなくても良いからね、さん。
……頑張って。」
うんうんと頷く2人の姿に、私の頬は一気に熱を上げる。
これ……完全に見透かされてるよね。
流石に豊久もこの状況を理解したみたいだ。
得意気に口角を上げ
「じゃじゃ馬を手懐けねばならんち
ちくと時間が掛かるど。」
ぐいと私の身体を引き寄せた。