第6章 Sixth sense
一瞬触れただけで直ぐに唇を離すと、急激に羞恥が沸き上がって来る。
何て大胆な事をしちゃったんだろう……私。
でもどうしても豊久に触れたくて我慢出来なかった。
顔を真っ赤に染めてモジモジする私を、豊久は驚いたように目を瞬かせて無言で見つめている。
そんな静寂に居た堪れず
「………ごめん。」
そう呟いて立ち上がろうとした私の手首を豊久ががっしりと掴んだ。
「勘違いじゃ無かが?」
「……………え?」
「俺(おい)は色恋沙汰には疎いからの。
はっきり教えて貰わんと分からん。
……俺(おい)の勘違いじゃ無かよのう?」
その意味を悟った私は小さく頷いた。
「うん……。
勘違いじゃ……ない…よ。」
「ほうか。
ならば………」
掴まれていた手首をグイッと引き寄せられ、私の身体は豊久の胸の中に倒れ込む。
息を飲んで豊久の顔を見上げると、艶やかな色を浮かべた視線と絡み合った。
「遠慮ばせんど。
仕掛けたがはじゃ。
加減なんど出来んぞ……良いの?」
「…………っ」
私の返事を待たず、豊久は噛み付くように口付けて来る。
息苦しくて身体を捩ってみても、豊久の両腕にガッチリと拘束されて逃れられない。
「…………っ…はああ…」
漸く解放され大きく息を吐いた時には私の目に涙が滲んでいた。
「ほんのこつ……もじょ(可愛い)かぁ。」
嬉しそうに笑った豊久が、コツンと額を合わせて来る。
ああ……やっぱりこの人の事が堪らなく好きだ。