第6章 Sixth sense
「また……」
私と与一さんが信長様の方へ目を向けると
「また……来ると思うか、与一?」
信長様は鋭い視線で与一さんを見ていた。
「ええ……恐らく。
土方某のさんへの執着はかなり強い。
それにお豊(トヨ)との事も
このままで終わらせるつもりは無いでしょう。」
「で………あるか。」
そう言って信長様と与一さんは考え込んでしまった。
また土方歳三が来るかもしれない……そう思うと私の背筋をゾクゾクと悪寒が走る。
そして私は居ても立っても居られず、眠る豊久の傍らに腰を下ろした。
「豊久……早く目を開けて。
いつもみたいに私の名前を呼んで……
そしてまた頭を撫でて欲しいよ。」
掠れた声で呟く私の背後から伸ばされた手が豊久の額に添えられる。
与一さんだった。
「お豊(トヨ)、死んじゃ駄目だよ。
お豊(トヨ)が死ぬと多分きっと全ての歯車が壊れる。
信長殿やオカマ伯……
僕も、そしてさんも……全部壊れる。
お豊(トヨ)は自覚が無いけれどね。」
言い聞かせるように紡がれる与一さんの言葉に泣いてしまいそうだ。
皆が豊久を必要としている。
だから豊久………お願い。
それから私は一時も豊久の側を離れず、その顔を見つめ続けた。