第5章 Burning quintet
「私達とは別に廃棄物(エンズ)と戦う漂流者(ドリフ)は
まだ何人か居るわ。
彼等はあのカルネアデスの北壁を死守していたのだけれど
廃棄物(エンズ)に堕とされてしまった。
其処にが連れ込まれたから協力をお願いしたのよ。」
「俺もあの空飛ぶ鉄の固まりには度肝を抜かれたわ。
俺の時代にもあんな物が在れば苦労せんで済んだのににゃあ。」
そう言った信長様の目がキラキラと輝いていた。
「あの戦闘機……『シデンカイ』って言うそうよ。」
サン・ジェルミさんの口から出た言葉に私は息を飲んだ。
あれが紫電改……。
じゃあ操縦しているのは……?
「乗っているのは確か……デストロイヤー……」
顎に手を当てて考え込むサン・ジェルミさん。
だけどもう私には答えが分かっている。
「菅野直………。」
その答えを呟くとサン・ジェルミさんは私を指差してニヤリと笑った。
「そう、それ!
デストロイヤー菅野。
何か凶悪な顔をした日本人よ!」
菅野直。
旧日本海軍軍人。
卓越した飛行技術で多くの米軍機を撃墜し、米軍パイロットからは「イエローファイター」「ブルドッグ」と怖れられた人物だ。
太平洋戦争終戦直前に機体ごと行方不明になって、戦死したと思われている筈……
それがこの世界に飛ばされていたんだ。