第5章 Burning quintet
不安定な縄梯子を何とか登りきり、天窓から外へ出た私はその高さに息を飲んだ。
地上まで10数mはある。
勿論今居るのは屋根の上で、地上へ降りる手段など全く無い。
一体どうするんだろう……吹き付ける冷たい風に身体を震わせていると……
「来た!」
信長様が小さく叫んだ。
その目が見上げる先には………飛行機?
どうして飛行機がこの世界に?
驚いて微動だに出来ない私の腰を信長様がグイと引き寄せる。
「『あれ』に脱出させて貰う。」
「え……『あれ』に……って…」
言っている間にも飛行機は私達に向かって高度を下げて来て、その機体がはっきりと私の目に写った。
「あれは……旧日本軍の戦闘機!」
日本史を学ぶ上で教科書や資料で何度も目にした。
航空博物館で展示されている実物を見た事だってある。
まさか、そんな物が実際に飛んでいるなんて……。
目を凝らして良く見てみるとその機体の下には何かがぶら下がっていて……
あれ、もしかして……。
「良いか、。
俺の身体にしがみ付いて居ろ。
絶対に離すんじゃにゃーぞ。」
「え……え……?」
覚悟を決めない内に戦闘機からぶら下がった物が私達の横をすり抜け、信長様は私を抱えたままそれに飛び移った。
「…………っ!」
何この一昔前のハリウッド映画みたいな展開は!
私が悲鳴を上げる事さえ出来ずにいると、私を片腕で抱き抱えながら信長様がうんざりとした様子で呟いた。
「こちとら五十路のジジイだぞ。
全く……無茶をさせやがるのう。」