第5章 Burning quintet
「軽々しくの名を呼ぶな。
貴様(きさん)の相手は俺(おい)ぞ。
余所見ば許さん!」
そして研ぎ澄まされた金属音が鳴り響く。
ああ……豊久と土方歳三が刀を交えているんだ。
燃え盛る焔の熱に燻されながら何とかその先を見ようと身を乗り出した私の身体は、突然背後から現れた両腕に搦め捕られた。
「。」
耳元で囁かれたその声は……
「信長様!」
その腕の中で振り返ると、信長様の目は私の胸元を凝視している。
「あ……これ…は……」
私が自分の両手で散らされた紅い跡を隠すと、信長様はぎゅうっと抱き締めてくれた。
「おーおー……可哀想にのう。
良く耐えた。
偉いぞ、。」
信長様の優しい言葉が心に染み渡り、一気に涙が溢れ出してしまう。
「…………信長…様。」
そして私も信長様に縋り付いた。