第5章 Burning quintet
泣き出しそうになってしまう私を、土方歳三は一層追い込んで来た。
「傷は付けていない。
まだ……血を流させてはいないからな。」
その言葉の意味を悟った私の顔は一気に熱を持った。
止めて……豊久にそんな事を知られたく無い。
身体を抱え俯いたままカタカタと震える私に向かって
「……直ぐに助けるち、そのままじっとして待っちょれ。」
豊久の柔らかい声が投げ掛けられる。
………じっとして?
その言い方に私は違和感を感じた。
そのままじっとして………ここから動くなっていう事?
「俺の背後を獲れると思っているのか?」
僅かに苛立たしさを含んだ土方歳三が、流れるような所作ですらりと抜刀する。
それに応えるように豊久も勢い良く刀を抜いて力強く言い放った。
「ようもやってくれたのう。
貴様(きさん)の首はいらん。
命だけ置いてけ!」