第5章 Burning quintet
そして唐突に部屋の扉が蹴破られた。
その無惨に破壊された扉の方へ目を向けると、そこには仁王立ちの豊久の姿。
「を返して貰うど。」
怒りを孕んだ豊久の声に私の全身がぞわぞわと粟立つ。
だけど土方歳三は焦る様子も無く、落ち着き払って居た。
「早かったな。
俺の居所を探り、策を立て、仕度をして向かう……
二日……いや、三日は掛かると思っていたが………」
「はン。
島津なら翌日ぞ。」
そう言って不敵に笑う豊久を見て、土方歳三の表情が不快に歪んだ。
「貴様一人か?
第六天魔王と伝説の弓主はどうした?」
「島津を恨んでおるんじゃろ?
為らば貴様(きさん)の相手は俺(おい)一人で充分ぞ。」
その時、漸く私の姿を捉えた豊久の目に一層怒りが溢れ出る。
「………を傷付けるなと言うた筈じゃ。」
その言葉に自分の在り様を省みると……
ワンピースの裾は腰近くまで捲り上げられ太股が露になり、大きく暴かれた胸元には幾つも紅い跡が散らされていた。
「あ…………」
そんな姿を豊久に見られてしまった事が堪らなく恥ずかしくて、何故だか申し訳無くて、私は慌てて自分の身体を抱え込み豊久の視線から逃れようとする。
こんなの……何をされたのか一目瞭然だ。