第5章 Burning quintet
「………斎藤は?
彼奴とは会津で別れた。
斎藤はどんな最期だった?」
そうか……斎藤一はこの人より長く生きていた。
だから知らないんだ。
斎藤一……。
私は自分の頭の中をゆっくりと掻き混ぜるように考える。
「斎藤一さんは大正4年に亡くなっています。」
「大正……?」
彼は不審気に眉を寄せた。
ああ、明治以降の年号は知らないよね。
「貴方が亡くなってから46年後です。」
「そんなに……」
「はい。
胃潰瘍という病気で。
お子さんやお孫さんに見守られての往生だったみたいです。
それから、斎藤一さんは過去の事を……
新撰組についての事を殆ど語られないまま亡くなった…と。
恐らくご自身の生き様を昇華しての
納得のいく最期だったんじゃないかと思います。」
「そうか……。
斎藤は寿命を全うしたのか。
あんなに生き急いでいた奴なのに皮肉なものだ。」
そう言いながらも土方歳三の瞳には安堵の色が浮かび、表情を穏やかに緩ませて俯いた。
そんな姿を見て私の想いは一層突き上げられる。