• テキストサイズ

Indispensable~ドリフターズ~

第5章 Burning quintet


「土方さん……」

思い切って名前を呼んでみると、驚いたように顔を上げた彼と私の視線が絡み合った。

「こんな話、何の慰めにもならないと思いますけど……
 私が生きていた時代では、貴方達を悪く言う人は殆ど居ません。
 新撰組は英雄として扱われる事が多くて、
 維新志士も会津藩も、新撰組も……
 皆が己の信念を貫いて生き抜いたんだと
 尊敬と憧れの念を持って語られ続けています。」

絶え間無く話す私を、土方歳三はじっと見つめたままだ。

そして何故か私の目にはじわりと涙が滲む。

「だから……恨まないで下さい。
 勿体無いです。
 貴方は日本最後の武士だと言われる程、
 皆が憧れる存在なのに……勿体無いですよ。
 そんな憎しみなんかに囚われずに、
 もっと自分を誇って………っ!」

突然、土方歳三の右手が私の頬を撫でる。

「貴様は……自分を拐った男の為に涙を流すのか?」

驚いて微動だに出来ない私に向かって彼は一層身体を寄せた。

ギシギシと長椅子が音を発て、逃れられない位置へ追い詰められてしまう。
/ 169ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp