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Indispensable~ドリフターズ~

第5章 Burning quintet


だけどその笑顔は一瞬で消え失せ、また澱んだ暗い表情に戻ってしまう。

「現状を説明してやる。
 俺は貴様を拐い、彼奴に取り返しに来いと告げた。
 取り返しに来なければこの娘がどうなっても知らん……とな。」

そう言えば……この人が豊久とそんなやり取りをしていた事を聞いていたような気がする。

でも…………。

「豊久は来ないかもしれないですよ。
 私なんか………」

「否、必ず来る。」

私の言い分を遮って、土方歳三の強い言葉が響いた。

「彼奴は必ず来る。
 彼奴は……
 貴様に掠り傷一つ付けるなと言った。
 さすれば俺の首を獲るだけでは済まず膾斬りだ…と。」

豊久がそんな事を……?

こんな時に不謹慎だとは分かってるけど……どうしてかな?

凄く嬉しいよ。


「命を捨てて……
 命を的にして………
 功名……敵の首を獲ると言う、
 そんな意志に四肢が生えているかの様な戦国武者を
 どうやってそこまで陥落させた?
 どんな術を使ったのだ、貴様は?」

手入れをしていた刀を鞘に仕舞った土方歳三がゆらりと立ち上がる。

「その手管を俺にも見せて貰おうか。」

そして私が身を縮込ませている長椅子に向かって近付いて来ると、その端に腰を下ろした。

長椅子がギッと乾いた音を発て、彼は身体を私に寄せる。

………乱暴される。

だけど……全身を強張らせ固く目を閉じた私の耳に届いたのは意外な言葉だった。


「『俺達』の話も聞かせてくれ。」
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