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Indispensable~ドリフターズ~

第5章 Burning quintet


「その声は……ラスプーチン!」

サン・ジェルミさんはあからさまに苦々しい顔をして、その声の主の名を呼ぶ。

ラスプーチン………

グリゴリー・エフィモヴィチ・ラスプーチン。

ロシアの怪僧。

こんな人まで廃棄物(エンズ)に?

終わると思った瞬間に訪れた衝撃に、私の身体はカタカタと震えてしまった。

その震える肩を隣に居た豊久がそっと抱いてくれる。

そんな豊久の温もりにホッとしたのも束の間、サン・ジェルミさんが見据える先にぼんやりと人の姿が浮かび上がり……

「サン・ジェルミ伯。
 考える事は似た様な事だったかな。
 相変わらずバカみたいな格好をして。」

眼鏡を掛けた長髪の男性が小馬鹿にする様を隠しもせずに笑った。

そしてサン・ジェルミさんは叫ぶ。

「衛兵!衛兵!!
 何してるのよォ!」

「衛兵は来ないよ、サン・ジェルミ伯。
 土方が一人残らず片付けてしまったからね。」

現れたラスプーチンが笑顔を崩さずそう言うと、議員の全員が顔面蒼白でガタガタと立ち上がった。

「貴方達はさっさと逃げて下さい。
 ゴミの命は要りません。」

ラスプーチンがそう言い終わらない内に議員達は蜘蛛の子を散らすように議場を飛び出して行った。

「ああ、漂流者(ドリフ)の方々は残って下さいよ。
 貴方達は生かしておく事は出来ません。
 間も無く土方が参りますので、
 命乞いの準備は宜しいですか?」

くつくつと嫌な笑みを浮かべるラスプーチン。

その笑い声に被さって乾いた靴音が近付いて来る。

「さあ、土方の登場です。
 精々抗って土方を楽しませてやって下さい。
 それでは、私はこれで。」

そう言うとラスプーチンは現れた時と同じように煙の如く消えてしまった。
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