第5章 Burning quintet
サン・ジェルミさんの言う通りだった。
長年の侵略戦争に疲弊していたオルテ帝国は、既にその力を維持し続ける事すら出来ない状態のようだ。
オルテ指導部の議員達は全く覇気が無く、それを見た信長様が染々と呟いた。
「ああ……嫌だねえ。
こんな風にめそめそと滅ぶ国は。
パッと燃え尽きちまえよ。」
その言葉に豊久も答える。
「そうよの。
この国は息の根ばさぱっと止めて、
介錯してやらねば可哀想ぞ。」
1つの国が滅ぶ。
それが諸手を挙げての良い事だとは私も思わない。
だけど……お願い。
このまま静かに漂流者(ドリフ)に権限を渡して。
きっと豊久と信長様と与一さんが良い国に創り替えてくれる筈だから……。
私はひたすらにそう願っていた。
「じゃあ、異論は無いわね。
これでオルテはトヨヒサ・シマヅを新たな首魁として
心機一転、頑張って行こうと思います。
皆様長らくありがとう。
さようなら。」
サン・ジェルミさんの力強い言葉。
集まった議員達は複雑な表情をしながらも異論を唱える人は居ないみたいだ。
良かった、これで終わる……私がそう胸を撫で下ろした瞬間………
「お前の思い通りになると思ったら大間違いだ。」
地の底から聞こえるような低い声が議場に響き渡った。