第4章 Crazy four
一晩中語り合った私達は翌朝、サン・ジェルミさんの操る馬車に揺られてオルテの中心部に入った。
結局、作戦と言う程の事は決められないまま。
「俺(おい)の子孫がやらかした事は
俺(おい)が受け止めねば恥ぞ。
俺(おい)と土方の一騎討ちじゃ。」
私の話を聞いた豊久が、そう言って譲らなかったからだ。
歴戦の戦国武将と幕末を駆け抜けた狂狼。
この二人の一騎討ちって……
想像しただけで身体が震える。
どうしたってお互いが無傷で済む筈が無い。
それでも私は豊久の無事を願ってしまう。
無傷で戻って来て欲しい……皆の所に。
………私の所に。
「豊久……
お願いだから無茶はしないで。」
馬車の中で私は何度も豊久にそう言った。
そんなのは無理な話だと自分でも分かってる。
しかもしつこい程にそう言う私を煩わしく思われるだろうって。
だけど豊久はその度に嫌な顔一つせず
「分かっちょる。
お前(まあ)はそんな顔ばせず笑えい。」
と、いつものように大きな手で私の頭をくしゃっと撫でてくれた。