第1章 First impression
私はいつも通り大学に行こうと電車に乗って……
そうだ。
その乗った電車が大きく揺れた。
耳を劈くような轟音と悲鳴。
あっという間に乗客達がなぎ倒されて来て、私もその下敷きになって……
それから………
「はっ…………」
目を覚ます。
ああ……やっぱり夢じゃなかったんだ。
私の目の前にはさっきと同じ3人。
しかも何だか愉しそうにニヤニヤしながら私を見てる。
「あの……えっと……」
「先ずはお前(まあ)の名だ。
何と呼べば良いのか分からんのは面倒だわ。」
島津豊久と名乗った人がゆっくりと近付いて来た。
名……私の名前。
「私は……といいます。」
「……聞いた事無か。」
島津豊久は不審そうに私を見下ろしている。
「俺も知らんな。
与一は?」
「私の御世にも居られなかったと思います。」
織田信長と那須与一がそう言って頷き合った。
そりゃ聞いた事無い筈だよ。
私の実家は戦国大名でも、公家でも何でも無いんだから。
だって私は……。
「では、貴女は『いつ』からお出でになったのです?」
那須与一が笑顔で問い掛けて来る。
だけどその笑顔には紛れも無い緊張感が漂っていた。
「いつ……?」
「そう。
貴女が生きておられた時代です。」
「平成28年……2016年です。」