第1章 First impression
「申し訳ありませんが、傷の手当ての為に脱がせて頂きました。
大丈夫ですよ。
私は女人には興味ありません故。
只、貴女が『いつ』から来たのかには
興味津々ですが……。」
本当に何が何だか全く理解出来ない。
一体、ここはどこ?
私を担ぎ上げた人も、目の前にいるこの人も何だか時代劇で見るような格好をしている。
何を言えばいいのか、聞きたい事すら上手く纏まらない。
何とか言葉を捻り出そうとしていると
「おう。
気が付いたみたいだにゃあ。」
また時代劇から脱け出して来たような人が現れた。
私をここへ連れて来てくれた人も一緒だ。
「与一、この娘は何か喋ったかの?」
「いいえ、まだ何も。」
「まあ見るからに廃棄物(エンズ)では無いな。
我らと同じ漂流者(ドリフ)と考えて良いだろーよ。」
「そうですね。」
与一と呼ばれた人が笑顔で同調した。
「では我らと一緒に戦うべき仲間だ。
貴様、名前は……
いや、先ずはこっちから名乗るのが筋じゃな。」
長髪で右目に眼帯をした髭面の中年男性は何故か得意気だ。
「俺は信長。
織田前右府信長である。」
…………は?
「那須資隆与一で御座います。」
私の手当てをしてくれた人は笑顔のままそう名乗り、そして残る一人を指して促す。
「そしてこちらが我ら総大将……」
「島津中務少輔豊久。」
真っ赤な……血のように真っ赤な甲冑を身に着けた彼は、両腕を組んでぶっきらぼうに名乗った。
織田信長。
那須与一。
島津豊久。
………何これ。
一体何が起こってるの?
考えれば考える程、気が遠くなって来る。
そして私はまた意識を失ってしまった。