第1章 First impression
私が答えた途端に、この場の空気が凍り付くのが分かった。
3人が信じられない物を見るような目を私に向けている。
でも次の瞬間、織田信長は大声で笑い出した。
「ふはははは……こりゃ良い!
聞いたか?
『へいせい』だと。
何だ、そりゃ。
二千十六年だとよ。
がどんな話を聞かせてくれるのか愉しみで仕方無いわ!
なあ……お豊(トヨ)。」
「全くじゃ。
女子(おなご)の癖してそんな傷だらけであるとはの。
どんな修羅を潜って来たのか聞かせてもらうど。」
え……ちょっと……怖いんですけど。
私の怯えた素振りに気付いた那須与一が、今度は何の屈託も無い笑顔を浮かべて諭してくれた。
「大丈夫ですよ、様。
信長殿も豊(トヨ)さんも、
様の事を大変気に入られた御様子。
さあ、これから私達と親交を深めるべく語り合いましょう。」
これはもう……覚悟を決めなきゃいけないんだよね?
どうやらこれは夢じゃない。
覚めるのを待ってたってダメなんだ。
この人達と一緒に居なければ、元に戻る所か生きてすらいけない。
私の全神経がそう感じてる。
うん……私、絶対にここで生き抜いてやる。
生き抜いて、絶対2016年に戻ってやる。
「あの……」
縮めた身体をモジモジさせながら呟くと、3人の目が一斉に私に向けられキラリと光った。
「取り敢えず……着る物を返して貰ってもいいですか?」
私としては当たり前の事を言っただけなんだけど、
「ふはっ……
気丈な娘よ。
帰蝶を思い出すわ。」
と、織田信長は何故かまた大声で笑い出した。