第4章 Crazy four
「明日、オルテ帝国指導部の緊急会議を召集する事になったわ。
この席で私が藩地伯権限でオルテの店じまい……
指導部の解体、新たな首魁を宣言してあげる。
所謂クーデターってヤツね。」
「くうでたあ……とは何ぞ?
南蛮の食い物か何かか?」
「ああ、トヨちゃんは知らなくていいから。」
あっさりと言い切るサン・ジェルミさん。
総大将の扱いが軽過ぎじゃない?
またハラハラしてしまう私を余所に、豊久は何でもない顔をして大人しくサン・ジェルミさんの話に耳を傾けてるし!
「これはチャンスよ。
ああ、チャンスは好機って意味ね。
この混乱に紛れて、あなた達が一気に国を簒奪して頂戴。」
「そう上手く行きますかねー。」
与一さんが真っ当な疑問を口にした。
確かに、私が知っている歴史の中でもクーデターが成功した例って殆ど無い筈だ。
そして必ずと言って良い程……犠牲者が出る。
「そうね、指導部の連中は大した事無いわ。
私だけでも簡単に丸め込める。
問題は………」
「廃棄物(エンズ)……じゃな?」
顎に手を当てた信長様が不適に笑う。
「ふん……流石ノブノブね。」
満足そうに頷いたサン・ジェルミさんは私達の顔を見回した。
「この世界を殲滅させたい廃棄物(エンズ)が
大人しく此方にオルテを渡すワケが無い。
必ず出張って来るわ。」
サン・ジェルミさんの静かな迫力に私はコクリと喉を鳴らす。
そして何故かサン・ジェルミさんは私の目を見据えて言った。
「次は恐らくあの男が出て来るハズよ。
そう………トシゾウ・ヒジカタ。」