第4章 Crazy four
「もういいよ、豊久。
頭を上げて……ねえ……」
「いいや、ならん。
が俺(おい)を許すと言うまでは
頭ば上げる訳にはいかん。」
オロオロとする私を、信長様と与一さんはニヤニヤと見ていた。
「許す……許すよ、豊久。
大丈夫だから、怒ってないから……
だからもう頭を上げて。」
屈み込んで説得する私に向かって、漸く豊久は顔を上げた。
そして
「ほうか。
許してくれるんか。」
と、とても嬉しそうに笑った。
やっぱり憎めないなあ……この人は。
本当にひたすらに真っ直ぐで、素直で、一点の曇りも無い。
信長様が「当に王の器だ」と言っていたのが良く分かる。
そんな事を思いながら豊久と視線を合わせていると、唐突に豊久の両手が私の肩をガッシリと掴んだ。
「え……何?」
ビックリして問い掛ける私に、豊久は真面目な顔で言った。
「やっぱりお前(まあ)に俺(おい)の子を産んで貰いたか。
じゃっどん、無理はもうせん。
がそん気になったらば、何時でも言うてくれ。
そん時は直ぐ様、俺(おい)がの腹に子種を………」
「分かったから!」
私は顔を真っ赤に染めて豊久の口を塞いだ。
このまま放っておいたら何を言い出すか分かんないよ。
素直過ぎるのも困り物だよね、ホント。