第3章 Triple fighter
「このっ……大馬鹿者がっっ!!」
信長様の怒号が廃城中に響く。
どうやら豊久が叱られているらしい。
与一さんが気を遣ってくれて、私は豊久と顔を合わせないように別の部屋に寝かされていた。
「ははっ……
お豊(トヨ)は酷い事になってそうだなぁ。」
私の側に付いて居てくれてる与一さんが愉しそうに笑う。
そして私の身体にふわりと布を掛けてくれた。
「お豊(トヨ)の事、許してあげて下さいね。
決して貴女を苦しめたかった訳じゃ無いから。」
うん……与一さんが言いたい事は分かる。
問題は私と豊久を隔てる時間の壁だ。
その壁が無かったのなら、私は豊久を受け入れられたのかもしれない。
だから豊久を恨んではいないけど……でも、あの恐怖は直ぐには忘れられそうにない。
「きっとお豊(トヨ)はさんの事が好きなんだろうなぁ。」
「え……?」
私の心を見透かしたような与一さんの言葉にドキッとした。
「ほら、あの人戦闘馬鹿だから
自分じゃ気付いて無いだろうけどね。
それでも自分が戦う理由みたいな物を
さんの中に見付けたんじゃないかって思うんだ。」