第3章 Triple fighter
「はああ……」
サン・ジェルミさんの嵐のような来訪を終えて、私は1人廃城を出て溜め息を吐いていた。
「一体どうなっちゃうんだろ。」
そんな事を呟いてみたって自分の状況すらまともに把握出来ない今は何の解決策も思い付かない。
「何しちょる?」
私の気分とは裏腹に晴れ渡った空を見上げていると、突然背後から声を掛けられる。
「豊久さん……」
豊久さんはザクザクと近付いて来て、私の隣にドカッと腰を下ろした。
「『さん』は要らん。」
「え?」
「豊(トヨ)で構わんど。
信(ノブ)も与一もそう呼ぶ。」
そう言われても……。
少し考えた私は畏れながらも折衷案を提案してみる。
「じゃあ……豊久…で。」
「おう、それで良か。」
嬉しそうにニカッと笑った豊久が、身を屈めて私の顔を覗き込んだ。