第14章 DESTINYー運命ー
2017年10月21日………
ここは岐阜県大垣市。
あの関ヶ原町の程近く。
そう…417年前には『烏頭坂』って呼ばれていた場所。
閑かな住宅街。
だけど民家は疎らで、通る車も殆ど居ない。
小高い場所にある小さな林の中。
斜面を削っただけの舗装もされていない階段を登り切った先に『それ』は在った。
「やっと会えたね……豊久。」
少し息を切らせて微笑む私の前に現れた大きな石碑に刻まれている文字は……
『島津中務大輔豊久之碑』
「こんな分かりにくい場所にあるんだもん。
随分と探しちゃったよ。」
誰かが供えてくれたのかな。
古びた赤い風車がカラカラと音を発てる。
「静かだね…。
豊久には退屈なんじゃない?
それともやっとのんびり出来てる?」
傾いた日射しの所為で少し肌寒くなった風が吹き抜けて、周りの木の葉をサラサラと鳴らしていた。
「会いに来るのが遅くなっちゃってごめんね。
この子の事で色々大変だったんだ。」
そう言って私は、最近目立ち始めたお腹をそっと撫でる。
病院でこの子がお腹に居るのを知らされた。
父親は誰か……なんて考えるまでも無い。
豊久の子……
それから先は迷う事など一度も無かった。
とにかくこの子を守らなくちゃって、それだけを考えて過ごして来た。