第2章 Second impact
ああ、やっぱり信長様は『織田信長』なんだ。
当たり前の事だけど、こうして目の前で見せつけられると堪らなく怖い。
なのに怖い程……魅かれてしまう。
「俺達はこの豊久を頭目に国盗りの真っ最中じゃ。」
「豊久さんが大将?」
そう言えば最初に与一さんが豊久さんの事を「我ら総大将」って言っていた。
どうして信長様じゃ無くて、豊久さんなの?
不思議に思って豊久さんを見上げると、ばちっと目が合ってしまう。
私の考えている事なんてお見通しなんだろう。
「可笑しか話ん流れじゃっどん、
俺(おい)と言う事ばなっちょる。」
豊久さんは呆れたようにそう言った。
「まあ、が不審に思うのも分かるがのー。」
そして信長様は急に真剣な顔付きで語り出す。
「俺では駄目なのだ。
俺はそういうのは駄目な男らしい。
人と言うもんは利益と恐怖で全て動くと思っておった。
だが人の心とはどうも違う様だ。
だから俺は滅んだ。
光秀に謀反を起こされて、
俺の五十年は……俺の人生は無駄になった。
分かるか、?」
何となく、本当に何となくだけど……分かる気がする。
私は信長様をじっと見つめたまま頷いた。