第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
「あーーー…信長殿、狡ーーーい。」
呑気なその声に顔を向けてみれば、与一さんとサン・ジェルミさんが私達に向かって歩いて来た。
きっと2人共、私と信長様の話を聞いていたんだろう。
だからこんなに態とらしい位……何でもない顔をしてくれているんだろうな。
「信長殿ばかり狡いですよ。
僕だってさんに触れたいのにー。」
「はあ、仕方にゃーの。
少しだけだぞ………ほれ。」
そう言って信長様は、私の身体をそっと与一さんの方へ向ける。
それって信長様が決める事なのかなぁ…なんて思っていると、少し身を屈めた与一さんの唇が私の唇に重なった。
一瞬の出来事だったけど驚いて目を瞬かせる私に向かって、与一さんは笑顔でウインクをする。
「これ、お豊(トヨ)には絶対内緒にしておくからね。
バレたら僕は膾斬りにされちゃう。」
「ふふ……そうですね。」