第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
一瞬だけ見開かれた豊久の目は、直ぐに柔らかく細まった。
「………おう。」
そう言って身を屈めると私の肩にそっと腕を回し、やんわりと包み込んでくれる。
ああ…優しいなぁ…。
だけど私の中で燻る熱が、そんな豊久の胸を押し返した。
「そうじゃ…なくてっ……」
「……何馬鹿な事を考えちょる。」
窘めるその口調で、私の願望はちゃんと伝わっているんだって分かる。
「だって…豊久が好きなの。
豊久に触れたいし、触れて欲しいの。」
「そんなん今無理にせんで良かが。
こん傷さえ癒えれば、
その先はが嫌だ言うても抱き尽くしてやるち…」
…………『その先』は恐らく、無い。
自分の身体だから分かるんだ。
私は多分……豊久や皆と別れなければならない。
でも、どうやって伝えればいいの?
『もうすぐ居なくなるから最後に抱いて欲しい』なんて言えないよ。