第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
変わらず私の髪を撫で続けてくれる信長様を見上げて、私はそっと囁いた。
「信長様……豊久と2人だけにしてくれませんか?」
「いや、しかし……」
「…お願いします。」
もう、信長様は何も言わなかった。
「ささ…行くぞ」と与一さんとサン・ジェルミさんを促し、部屋を出て行った。
与一さんとサン・ジェルミさんも私を心配そうに気遣う視線を向けてくれたけど…何も言わなかった。
豊久も何も言わずに……私の傍らに残ってくれた。
「泣かんでも良か。」
「だって……だって…」
「ほれ、もじょか(可愛い)顔が台無しじゃ。」
豊久は笑いながら私の顔を両手でぐいぐいと拭いてくれる。
「俺(おい)はを何処にもやりゃせんし、死なせもせんど。
土方に『を死なせるな』と言われてしもうたからの…
絶対じゃ。」
そんな豊久の優しさが、私の決心を更に強固なものにする。
泣いてしまった所為で、少し息苦しくなって来た。
だから、言わなくちゃ…。
早く、言わなくちゃ……。
「ね……豊久。
………抱いて。」