第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
あれ…そう言えば豊久は?
豊久の声は聞こえなかったよね。
私が力を振り絞ってそっと瞼を上げてみると……
「っっ!」
豊久の心配そうな顔が目前に迫っていた。
「、苦しか無かが?
痛みは?
身体動かせるんか?
声は出るか?」
豊久の有無を言わせぬ勢いに、私はつい吹き出してしまう。
「そんなに一度に聞かれても、何から答えればいいのか分かんないよ。」
「ほうか。」
そんな私を見て、豊久も安心したみたいにニカッと笑ってくれた。
2人でクスクスと笑い合っていると、信長様のからかうような声がする。
「お前らは本当に仲が良いのう。」
「えっ……何よ!
トヨちゃんとって、デキてるの!?」
「そうなんですよー。
そりゃあもう毎晩毎晩……激しいの何のって。
お豊(トヨ)がさんを啼かせ捲るもんだから
僕と信長殿は眠れなくてですねー……」
「アラアラ…もう、いやーねえ♥
トヨちゃんったら。」
「与一!そげん嘘を吐くな!」
相変わらずの皆のやり取りを見て「本当に戻って来られたんだ」と心底ホッとしていると、枕元に腰を下ろした信長様がゆったりと私の髪を撫でながら言った。
「……お前の手当てについてだがのう…」
「私は戻りませんよ。」
「………聞いておったか。」
「はい。
私はずっと皆さんと一緒に居ます。
それに戻り方だって分からないですし。」
「戻り方なぞ……を救う為なら何としてでも探り出してみせるが…。」
「いいんです。
私はここに居たい…っ…」
自分でも何故か分からないけれど、突然に感極まった私はボロボロと涙を流す。
「…ここに……居たいよぉ…」
部屋中に私の嗚咽だけが響いた。