第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
ブッチさんとキッドさんに連れられて、私達は無事に廃城へ戻った。
直ぐに寝台に寝かされた私を視てくれたのは、与一さんでは無くサン・ジェルミさん。
「僕には銃創なんて手に負えない」と、与一さんが悔しそうに唇を噛んでいたのを覚えてる。
身体が動かせないから瞼も上げられない。
だけど何故か神経だけは過敏で……
皆は意識が無いと思っていたのかもしれないけど、私の耳には皆の会話はしっかりと聞こえていた。
「オカマ伯……どうじゃ?
の具合は……」
「うーん……正直、分かんないのよ。
弾は貫通しているし、出血も多く無いわ。
でも…肺を損傷しているかもしれない。」
「肺腑を…ですか。」
肺を損傷……
ああ、そうかもしれないな。
だって凄く苦しいもの。
息を吸っても吸っても足りない感じ。
手足の指先が凄く冷たくて、ピリピリと電気を流したみたいに痺れてるのも酸素が足りない所為なのかな。
「ああっ…もう!
どうしてこの世界にはレントゲンが無いのよッ!」
「れんとげん……とは?」
「人間の身体の中を透かして見られるのよ。
そうすれば何処がどう傷ついているのか、
身体を開かなくても分かるってワケ。」
「そんな妖術の様な事が出来る物が在るのですか?」
「在るのよ。
少なくともの生きていた時代には…ね。」
「の生きていた時代……
では、そこに戻ればは確実に助かるのじゃな?」
「ええ……戻れれば、だけど。」
それ以降、信長様も与一さんも、サン・ジェルミさんも黙ってしまった。