第12章 REUNIONー再会ー
「農家上がりで似非武士の俺と
天下の織田信長公が似ているなど……
身に余る光栄だな。」
「のう……貴様も俺達と共に来ぬか?
俺達と共にもう一度、
己の生き様を貫いてみようではないか?」
そんな信長様の言葉に、土方歳三は迷う事無く首を横に振る。
「すまないが……
俺は島津と共に生きる事は出来ん。
それだけはどうしても出来んのだ。」
「で……あるか。」
絞り出すような土方歳三の返答に、信長様はもうそれ以上何も言わなかった。
「……………行け。」
そして遂に私の身体は解放される。
「でも………」
「良いから行け。
貴様には生きていて貰わねば困る。」
「土方さん……」
相変わらずの無表情ではあったけれど、それでもその時の彼の目は今までに無い優しい光を湛えていた。
「再び会える機会があれば、
その時にはまた『俺達』の話を聞かせてくれ。」
「はい!勿論。」
一瞬、土方歳三がふっと微笑んだように感じた。
私は振り返り、豊久に向かって駆け出す。
ああ、やっと本当に豊久に触れられる。
両手を拡げて待っていてくれる豊久の胸に飛び込もうとした瞬間………
『それ』に気付いたのは私だけだったんだ。
豊久の背に、ラスプーチンが構える銃口が真っ直ぐに向けられていた。
「…………っ!
駄目えええっっ!!」
今考えても、その時の私は良くそんな力が出せたものだと思う。
豊久の大きな身体を両手で突き倒したと同時に響く、乾いた銃声。
………そして私の胸には、小さな穴が空いた。