第2章 Second impact
サン・ジェルマン伯爵。
実在の人物……の筈。
幅広い時代に存在していた文献が残されていて、何十年経っても容姿が変わらなかったと言われてる。
とにかく博識で、過去の事も未来の事も何でも見て来たように語り……
そう、まるでタイムスリップを繰り返しているようだった…と。
「ヨーロッパ史上最大の謎の人物……」
また私が呟くと、彼は身体を反らしながら大声で笑い出した。
「あなた、中々ヤるじゃない。」
そして一頻り笑うと急に真面目な顔で語り始める。
「私はあなたを知らないのに、あなたは私を知ってる。
きっと漂流者(ドリフ)も廃棄物(エンズ)も
誰もあなたを知らないけれども、
恐らくあなたは全員を知ってる。
それってスゴい事なのかもしれないわね。」
私が全員を知ってる?
もしかしてこの3人以外にも歴史的偉人がこの世界にまだ居るって事?
あ……何か頭がクラクラして来た。
彼はそんな私を指差して、信長様に視線を向けた。
「良かったわね、ノブノブ。
この娘、案外戦力になるかもしれないわ。
どうやらあなた達、良い拾いモンをしたようねェ。」
その言葉を聞いた信長様はにやりと不敵に笑う。
「で、あるか。」
そしてウンウンと頷く与一さんと豊久さん。
この場に居る全員から期待に満ちた視線が注がれて、私の背筋を得体の知れない悪寒がぞわぞわと駆け上がった。