第12章 REUNIONー再会ー
土方歳三は私を肩に担ぎ上げると、そのまま無言で階段を下り始めた。
やっと会えた豊久との距離がどんどん拡がって
「嫌だっ!放して!!
豊久ぁ………いやあああっ!」
「っ………っっ!」
私を呼び続ける豊久の声も遠ざかる。
四肢をバタつかせて抗ってみても、土方歳三は全く躊躇しなかった。
怖いと思うよりも悔しくて堪らない。
どうして私はこんなに弱いんだろう。
自分自身の無力さに打ち拉がれ抗う事を止めたその時、歩き続ける土方歳三の足元に彼が倒れている事に気が付いた。
「…………っ!
義経さんっ!」
その名を呼んでみても源義経はぴくりとも動かない。
私を逃がそうとした所為で………どうしよう。
「義経さん……義経さんっ!」
私が呼び掛ける間にも、土方歳三はどんどん先へ進んで行ってしまう。
「義経さんに何をしたのっ?」
怒りを顕に問う私に、漸く土方歳三は口を開いた。
「案ずるな。
死んではいない。
少し眠って貰っているだけだ。」
その答えを聞いて僅かに安堵はするものの、それでも私の所為で誰かが傷付けられるなんてもう絶対に嫌だ。
諦めかけた自分をもう一度奮い立たせ、私は抵抗を再開する。
肩の上でジタバタと暴れる私に
「俺に逆らうな。
貴様を傷付けたくは無い。」
土方歳三は少し切な気にそう言った。