第12章 REUNIONー再会ー
「っ……手を伸ばせい!
俺(おい)が引き上げる!」
「うん!」
会いたくて堪らなかった豊久の姿が涙で滲む。
それでも私は精一杯に背伸びをして手を上へと突き上げた。
「ジェルミ!
もっと俺(おい)を押し出せ!
に届かんどっ。」
「無茶を言わないで頂戴!
これ以上乗り出されたら、支えらんないわよッッ!」
どうやら乗り出す豊久の身体を、サン・ジェルミさんが背後から支えてくれているようだ。
『現場作業員と一緒に行動はしない』
そう言っていたサン・ジェルミさんが私の為に身体を張ってくれている……
それがとても嬉しくて、私は滲んだ涙をポロポロと溢しながら一層手を伸ばした。
肩が外れてしまいそうな程に上へ上へ。
その所為で指先もピクピクと震えてる。
あと僅か……あと数センチで豊久に触れられる……
「!」
「豊久……」
見下ろす豊久と見上げる私の視線が絡み合い、お互いの名前を呼んだ瞬間………
「貴様は俺が貰うと言った筈だ。」
腰に回された土方歳三の腕によって、私はその場から引き摺り下ろされてしまった。