第12章 REUNIONー再会ー
その後は私と源義経の荒い呼吸音だけが響き渡り、あと数段……
あと数段上がればあの通気孔に手が届く……
そう僅かに気を弛ませた瞬間、その数段は突然にガラガラと崩れ落ちた。
どうして……
その様を目にして呆然と立ち尽くす私達の階下から、穏やかではあるけれど明らかに怒りを孕んだ声が聞こえた。
「裏切るか………義経。」
土方歳三が戻って来たんだ。
崩れ落ちた階段の砂埃の所為で、その姿は見えない。
だけどゆっくりと私達に近付いて来る足音が恐怖を煽る。
逃げ場も無く、只オロオロとする私に
「君は其所に居て。」
そう言った源義経は来た道を下って行った。
「裏切る?
僕は廃棄物(エンズ)じゃない。
それは土方だって知ってるだろ?」
「お前の小賢しい詭弁等、聞く耳は持たん。」
「僕が拐って来たあの娘を
僕がどうしようが文句を言われる筋合いは無い。」
「………は誰にも渡さぬ。」
二人の姿は見えないけれど、そのヒリヒリとした遣り取りに身を縮ませていると………
「っっ!」
頭上から焦がれ続けた声が降り注ぐ。
そして見上げたその先には……
「…………っ!
豊久っ!!」
通気孔から上半身を乗り出した豊久が居た。