第8章 Violet Moon~土方歳三~
「何してるのさ?」
全裸のまま眠るの姿を只見つめながら、脚を組み長椅子に身を預けて居る俺に向かって声が掛けられる。
その声色だけで誰であるかは直ぐに分かった。
「義経か。」
その声の方向に視線だけを向けてみれば、部屋の扉を開きにやにやと厭らしい笑みを湛えた義経が立っている。
「その娘、抱かないの?
それとも……もう事後なのかなぁ?」
俺を挑発する様な言い種だが、乗ってやる気にも為らない。
「折角土方の為に連れ出して来てあげたのに。
何?
裸にして視姦するだけとか、
そーゆー酔狂な趣味の持ち主だったりするの?」
「……貴様がを拐ったのか?」
俺が睨み付けながら問い掛けても、義経は気にする風も無く愉しそうにからからと笑った。
「そうだよ。
ラスプーチンに頼まれてね。
態々廃城まで出向いて拐って来たんだ。
君には感謝されても良いと思うんだけどなぁ。」
「何故、貴様が……」
「何故?
そんなの面白そうだからに決まってる。
この娘を奪われた漂流者(ドリフ)も、与えられた土方も
一体どんな反応を見せてくれるんだろうと思ったら
愉快で堪らなかったよ。」