第8章 Violet Moon~土方歳三~
こいつには何を言っても無駄だろう。
自分でも制御出来ない俺のこの複雑な感情を『面白い』の一言で片付けられては堪った物じゃない。
俺からの反応を獲られないと判断したのか、義経はするりとに近付いた。
「可哀想に……裸のまま放って置かれるなんてね。
せめて手淫だけでも………」
「止せ!
に触れるな、義経。」
しまった…と思った。
冷静さを欠いたら義経の思う壺だ。
だが、俺以外の手がに触れる事などどうしても我慢為らない。
再び挑発されるのを覚悟したが、義経は意外な程あっさりとから離れ
「大丈夫。
僕はこの娘に興味は無いからさ。
もし此処に居るのが与一だったら……
土方と争ってでも抱いちゃうんだけど。」
そう言って妖艶に微笑みながら部屋を出て行った。
一人残された俺は腹の底から湧き出る邪な感情に揺れている。
男に愛された証を身体中に残したまま、俺の目の前で眠るの姿はどうしようも無く扇情的だ。
「を………抱く?」
そして俺はゆらりと長椅子から腰を上げた。