第8章 Violet Moon~土方歳三~
正にラスプーチンの遣り方だ。
大きな打撃は与えないが、じわじわと真綿で首を絞めるが如く苦しめる。
俺が言うのも憚られるが、本当に趣味の悪い男だ。
「この娘の利用価値は計り知れない。
この娘と関わり合った漂流者(ドリフ)達を
どうやって苦しめてやろうかと考えるだけで
達して仕舞いそうですよ。
それに…………」
ラスプーチンの声が一際低く響き俺を煽る。
「土方の淫欲を満たすだけでも充分でしょう。」
「黙れっ!」
俺はラスプーチンに怒鳴り付けたが、それは図星を的確に突かれた事への醜い抵抗だった。
当然、俺の激しい動揺は覚られているのだろう。
「此れは此れは……。
兎に角、この娘は土方に差し上げますよ。
煮るなり焼くなり……
先日の続きをしても構いません。
どうぞ御好きに。
あ……しかし殺して仕舞うのだけは御勘弁下さい。」
そしてラスプーチンは俺を嘲笑いながら部屋を出て行った。