第2章 新たなる出会い
その日はいつもと同じで、いつもと同じように風が吹き空は青く、鳥がさえずり…
妖怪たちのざわつきが聞こえた。
奴良組本家。土曜日だというのに、なぜか大広間に集めたれた妖怪たち。リクオもそのうちの一人で、自分の祖父の隣に席を与えられていた。
「じいちゃん。一体何事?」
「もう少し待っておれ。」
いぶかしげに問うも簡素な返事が返ってくるばかり。何事も起こりそうにない。何かが近づいてくる気配は周りの妖気で隠されている。
ただ、ひとつ気になるのは、総大将とリクオの前に置かれた座布団がひとつ置いてある。
しばらくすると、今まで感じ取れなかった新たな妖気の流れが漂い始め、ふすまが静かに開かれた。
「やっと来たか。」
安堵と呆れの中間のような声で呼びかけられると、躊躇なく部屋に入り優雅に座布団の上に腰を下ろす、一人の少女。
それは深くお辞儀をすると凛とした声で話し始めた。
「お久しぶりです。じいちゃ……じゃなくて、総大将。」
少女の後ろでは家来らしき男が一人、頭を深く下げている。
彼女は軽く頭を下げただけですぐに頭を上げると、少し首をかしげるようにしながらその透き通るような黒の瞳にリクオを映した。
そして、その時この場に居合わせた者…総大将以外は、彼女の言葉に目を見張った。
「久しぶりだね。リクオ。」